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現場の昼食

現場にいると、食事に困る。いつも、昼になると車でウブドゥの中心辺りまで出かけて、適当に食事をとっていた。
今日は、すぐ近くの寺で闘鶏をやっているという。すると、屋台くらいでているのではないかと思って覗いてみた。案の定黒山の人だかりの脇で、おばちゃんがアルマイトの皿にお惣菜を並べ立てて客を呼んでいる。

お惣菜は、ゆで卵を揚げたもの、鶏肉の空揚げ、豚肉の空揚げ、野菜を香辛料と一緒に煮込んだもの、その他。種類はちがうものの、どれもこれも黒くてぐちゃぐちゃで、似たような形と色をしている。
迷った末に、これをちょうだい、といって中の適当なのを指さしたら、おばちゃんは三角に折り畳んだ包紙の袋を取り出して、その中にご飯を一盛いれたかと思うと、さらに並んでいたお惣菜を一摘みずつ全種類ぶちこんで、こちらにわたしてくれた。はい、1000ルピア。この屋台には、メニューはひとつしかなかったのである。いわゆるナシ・ブンクスというやつで、日本語でいえばお持ち帰り用チャンポンご飯。

横のバケツで手を洗わしてもらい、食べながらもどってきたら、現場のおばさん連中が、お湯を飲めといってコップをくれた。テラスの上に転がしてあった椰子の木の切れ端に腰掛けて、中年の大工さんが螺旋階段のホゾを切るのを見ながら、ナシ・ブンクスを平らげた。この料理を手で食べると、殊の外おいしい。
そばの柱に、ラーマが家から連れてきた2匹の猿が繋がれている。慎重でなかなかなつかないジローと、好奇心が強くておてんばのハナコである。2匹とも、こちらの食事するのを、じっとうかがっていた。
終わって袋を捨てたら、まずハナコが素早くそれを拾い上げ、そこにジローが擦りよって、2匹で袋の中を覗きながら、こちらの真似をして残り屑を食べた。

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