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井戸掘り

ジャワのチームが井戸を掘っている。先にチップと弁のついた鉛管を、継いで伸ばしながら、短いうちは2人で、長くなると4人で、ハンドルをつかんでよいしょ、よいしょと上げ下ろす動作を延々繰り返している。下ろす度に、上端につけたL字型の継手の先から、泥水がぴゅんぴゅん飛び出して、上げ下げの4人は、全身泥まみれ。何m掘るのかと聞いたら、10と5mだという。少し掘る毎にハンドルの位置をずらしてつけ替える。時々水を補給するために、2人のバケツ係が敷地の側を流れる水路から水をもってきて、鉛管の足元にぶちまける。

まてよ、確か井戸はすでに掘ってあったはずだ。ラーマは40mといっていた。探すと、ポンプ室の横に目印があった。ボーリングした後に、ビニールパイプで蓋がしてある。おかしいな、と思っていたところに、ちょうどライがやってきた。

「あれは、何をしているの?」
「井戸を掘っている。」
「それでは、あそこの目印は何?」
「井戸の目印である。」
「おかしいね?」
「おかしい。」

そこでライがあわててボーリングチームにわけを聞きにいった。安心顔で帰ってきた彼がいうには、
「空から落ちるもの、英語で何というか思い出せないが、空から落ちるものを土に戻す穴である。心配ない」
ここでしばらくお互いの連想ゲームのような探り合いがあった後、これは結局避雷針用のアースをとる穴だということが判明した。バリでは、アースをとるのに15mのボーリングを6人掛かりで行う。これでは、雷様もさぞかし引っ掛かりがいがあろうというものだ。

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