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車事情2

運転免許のとりかた

運転免許について、ウブドゥに長く住む日本人のおじさんから聞いた話しがおもしろかった。

彼はバイクに乗っている。乗り始めるときに、免許をどうやって取ろうかと研究した。詳しいことは忘れたが、いろいろと方法があるのだそうだ。教習所に通うとか、個人指導を受けるとか、直接試験を受けるとか、そういうことだろうと思う。
それで、それぞれいくらかかるか、ということを試算した。いずれにしてもかなりかかる。それで、もうひとつのオプションを思いついた。つまり、無免許で通すことである。

無免許で捕まっても、おまわりさんにいくらか袖の下を払えばそれで処理できる。
毎回××ルピア払うとして、年に××回捕まるとして、と計算すると、このほうがはるかにコストベネフィットが高い、という結論に達し、それで免許を取るのをやめた、というお話しである。

彼はさらに、その後、皮算用よりも捕まった回数は少なく、大正解だったということを、真面目な顔で淡々と語った。

「それに、捕まっても、『わたし、インドネシア語できませ~ん』という感じで、日本語でわあわあ言ってると、相手も困って、しゃあないなあ、とタダで放免してくれるケースが多いから、さらにお得ですね」

すこし考えさせる行状ではあるが、とりあえず笑える。

わたしの経験をいうと、これまでに免許証の提示を求められたことは、ただ1度しかない。
なんでもない時に突然警官に止められて、「はい、免許証」と言われた。ところが、いつも携行していた国際免許証を見せると、驚いたことに「これは何だ?」と受け付けてもらえない。それで、だめもとで日本の免許証を見せたら「OK」ということになった。
国際免許というのは、いったい何だったのだろうか。それ以来、わたしも厳密には無免許で通している。

駐車違反で捕まる

もうひとつ、運転で捕まったお話し。

夕日とサーフィンで有名なウルワツにひとりででかけてみた。
上り道が断崖の上で終わっていて、そこに大きな円形の広場があった。車をそこに止める。ほかの車は円周に沿うように無造作に止めてあって、まったく効率がよくない。わたしは、きちんと円周に直角に止めた。それがマナーというものだ。
そこから、マウンティンバイクに乗せてもらって、崖を降り、しばらく砂浜で遊んでもとの広場に戻ってみると、車の周りに人垣ができている。

なんだ、なんだ、と近寄ると、みんながはやし立てる。

「わあ、この車、止め方がよくないんだってー!」

人垣の中から、ひときわ気の弱そうな小柄な男性が出てきて、おずおずと説明をはじめた。

「ほかの車のように、円周に沿って止めなくてはいけない。あなたは、交通違反をした」
「あなたは、何ですか?」
「わたしは警官である」

確かに、それらしく黒い帽子をかぶっていた。いろいろと反論してみたが、この男は困ったようにもじもじするばかりで、一向らちがあかない。あきらめて、罰金はいくらかと聞くと

「10ドルである」

と、法外なことを言う。なにが10ドルだ、しかも、なんでルピアでなくてドルなのか! 頭にきたので、人垣に向かって

「この人は、ほんとうに警官か?」

と問えば

「わあ、そうだよー、そうだよー」

と返ってきた。あほらしくなって男を振り返り

「1ドルでどうだ」

というと、それでもよい、ということになり、ポケットから1ドル紙幣を出して払った。それでおわり。
それまでの人垣がくもの子を散らすようにいなくなって、当のお巡りさんも瞬く間に消えてしまった。
わたしは今でも、あれは偽警官でなければ私設警官だったと信じている。

あの時にも、そういえば免許証の提示は求められなかった。

教訓 : 車を駐車するときは、ほかの車と同じように止めましょう。

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