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法隆寺を支えた木

西岡常一、小原二郎著「法隆寺を支えた木」(1978年、日本放送出版協会)の読書感想文。2年前に広島県立図書館友の会会報第50号に寄稿したもの。ひょっこり出てきたので、記憶のためにここに掲載。300字の依頼に299字。

この本は、法隆寺の宮大工として数々の社寺建築を手がけたことで知られる西岡氏の語りに、人間工学の小原氏が解説をつけたもの。
西岡氏の木匠としての言葉には、珠玉の輝きがある。
いっぽう小原氏は解説とは建前で、木の細胞構造から巨木の運搬の話まで、広範な薀蓄を研究者の立場から展開していて大変おもしろい。「ヒノキの美しさを見出した目は、のちの室町時代に、墨一色で書かれた絵絹の肌に幾百の色を感じ取った目と、相通ずるものがあった」と、全編さながらヒノキ礼賛の書となっている。
日頃「西洋は石の文化、日本は木の文化」とは、表層的な見方ではないかと思っていたが、胸をはって「日本は木の文化」と再認識させる一冊であった。

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